今日のことは忘れよう

好きを発信していく。

アイツのウインナーがアルトバイエルンしたせいで私ががんもできなくなっておでんおでんになっちゃうのぉおお

 

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アイツと出会った日のことは覚えていない。記憶にないだけで幼い頃から顔を合わせていたと思うし家にだって呼んだことがある。会うのは決まって寒さが厳しい冬の日だった。改めて意識をし始めたのは高校生の頃だっただろうか。そんなアイツと久しぶりに再会した時のことを話したい。

 

そう、あれは高校1年生の冬。寒さが冷え込む12月のことであった。クリスマスも近くなり街全体がほんのり色づきはじめる頃である。その頃の私はといえば、夏のコンクールを終え1月に控える大会のため日夜練習に明け暮れていた。

 

「部活が恋人です」と言わんばかりの高校生活。私の想像と反して部活に青春を捧げていた。悔しい。'' JKブランド '' とは何だったのか。「高校生になったらすぐ彼氏できるよ」と言ったのはどこのどいつだっただろうか。

 

憧れの制服に身をまとい、期待と不安が入り混じった気持ちで迎えた入学式からいつの間にか半年。「さむーい♡」などと甘い声を出してコートのポケットに手を突っ込むような青春もなければ、ぎこちない距離感の君の手を握って「…あったかいね///」などと照れながら笑う青春もなかった。このまま何もないまま終えてしまうのだろうか。気を利かせてクリスマスイブを休みにしてくれる部活が憎らしい。

 

私は一緒に生まれ育った幼馴染もいなければ、休日に遊びに行くような男友達もいない。生まれてこのかたできたこともない。永遠のゼロだ。焦っていたのかもしれない。人肌が恋しくなるこの季節、手っ取り早く温かさに触れてしまいたいと思ってしまった。部活の疲れで身も心もボロボロとなってしまった私を、1人寂しい夜に暖めてくれる恋人もいない私を、癒してくれる誰かを全身が欲していた。

 

気付いたら私はとある店へ向かっていた。年中無休24時間営業のいやらしいお店である。抑え込んでいた欲求が爆発したのだ。居ても立っても居られず走り出していた。もう我慢できない。きっとそんな気持ちだったのだろう。少し高揚した気分で自動ドアの前に立ち店の中へ入った。聞き慣れた音と共に「らっしゃっせー」と店員のやる気のない声が店内に響く。私はかじかんだ手を温めながら店員の元に駆け寄り、アイツの名前を告げた。

 

「…あの、種類は…」

 

少し困った顔で店員から尋ねられ慌てて返答する。そういえば、アイツはそういう奴だった。太さや長さはもちろん、硬さや形までモノによって違う。'' みんな違ってみんないい '' を体現するような奴だった。今は多様な個性と価値観の違いを認め、進化を遂げ続けていると風の噂で聞くが変わってしまったのだろうか。変わってほしくないなあ、私も変わりたくないなあ、なんて考えながらお会計を済ませ店を出る。外に出ると日はすっかり暮れていたが、私の手に広がる温もりが寒さを心地よく感じさせてくれた。

 

ああ、やってしまった。私は汚れてしまった。私の手元にアイツがいる。金にモノを言わせてアイツを買い取ってしまった。お金じゃ愛は買えないことはわかっている。でも、どうしても止められなかった。その温かさで私の心を溶かし、その物憂いな瞳で私を誘って、その汁で私をビショビショに濡らしてほしかった。早く私のナカをいっぱいにしてほしかったのだ。こんなことでしか欲求を満たせない自分の幼稚さに少し自己嫌悪になりながらアイツと感動の再会を果たす。

 

「あっつ…」

 

久しぶりに再開したアイツは温かいを通り越していた。ふーん、そっちがその気ならまずは溢れ出ている出汁を飲んでやろうじゃない。反抗的な態度をとるアイツを横目に私は出汁を口に含む。美味しい。少し臭いような魚介風味の匂いがたまらない。ジュルジュル、とわざと音を立ててアイツの競争心を煽る。やはり本番の前に前戯が必要なように、主役の前に前座を楽しむのがマナーだったのかもしれない。欲求が先走った自分を反省し、まずは私の大好きなウインナーを口にした。

 

熱く怒張している肉棒が口の中に広がる。その熱は「俺に触れたらシャウエッセンするぜ…?」と言わんばかりのトゲトゲしさを含んでいたけど私は優しく息を吹きかけ舌でなだめる。まるで愛情を知らない子供みたいだ。最初こそ警戒されていたものの、今は舌の上で弾んで遊んでいる。可愛い。母性本能をくすぐられた私は舌で転がしたり、舌を這わせたりして彼に応戦する。

 

そうこうしているうちに私はたまらなくなって香薫にしゃぶりついた。脳内でたくさんシミュレーションはしてきたのだ。きっと上手くやれるはず。画面の中のあの人はどうやっていたっけ。無理やり食べさせられていたんだっけ。そんなことを考えながら、人目もはばからず夢中でしゃぶりつく。きっと顎から汁を垂らしている姿が最高にいやらしく写ることだろう。

 

そこからは皆さんの想像通りアツアツの夜を過ごした。アイツのあらびきポークウインナーはいつの間にかジョンソンヴィルしてソーセージになっていたし、私のつみれは厚揚げと化していた。そのうち、アルトバイエルンとなったアイツが私をアンティエしていく様子を見ていたらがんもできなくなったから、アイツのちくわをはんぺんしながら、ごぼう巻きにすべく私の餅入り巾着でコンニャクコンニャクしたりして昆布した。そしたらアイツのロールが辛子も塗らずにキャベツしてくるもんだから、おでんおでんになった私の大根は味付け卵しました。

 

以上です。あれ、何の話書いていたんだっけ。